ここではオーディオビジュアル(AV)のうち、視覚にかかわる製品を説明します。
録画・再生・表示・投影。皆さまの目に映る映像の仕組みを知りましょう。
プロジェクターとは?
プロジェクターとは、ディスプレイ装置の一種で、画像や映像を大型スクリーンなどに投影することにより表示する装置です。DLP(デジタルミラーデバイスを用いた映像表示システム)や液晶を使って、画像を大きくし、画面に映し出す装置を意味するのが一般的です。
後述の「リアプロジェクション」がスクリーンの背面から投影することと対応して、全面から映し出す形式をフロントプロジェクターと呼ぶこともあります。
近年の新商品でモバイルプロジェクター「X-01」が発表されました。19cmでありながら投影部を90度回転でき、壁面や天井に映し出すことができるのを売りにした商品です。映像性能は解像度1080ピクセル、明るさ100ルーメン、コントラスト2000:1、投影サイズ20~100インチとなっています。連続再生が2時間ほど可能なバッテリー容量(3000mAh)を有し、充電しながらの使用が可能です。スマートフォンやパソコン共にワイヤレス接続が可能なうえ、プロジェクター本体がWi-Fiとの接続機能を持ち、直接インターネットからYouTubeなどの映像を映し出すことができます。
またソニーモバイルが発売した「Xperia Touch」では「机をディスプレイとし、その画面をタッチ操作できるプロジェクタ」です。離れた壁や、真下のテーブル、真上の壁にも映像を映し出すなんてことができます。23~80インチのスクリーンに投影が可能で、机そのものがディスプレイになる感覚を味わうことができます。本体に赤外線センサーを搭載したことにより、人の接近を感知して時計などをあらかじめ表示する、ということも可能となっています。androidOSを内蔵しており、Google Playのアプリケーションが利用できます。価格は15万円(税別)です。
液晶ディスプレイとは?
液晶ディスプレイ(略称LCD)とは、液晶組成物を採用し、平らなスクリーンで薄型の映像あるいは画像を写す装置を指します。液晶組成物自体は発光をせず、それを利用して光を変調することで表示が行われる仕組みとなっています。
まず「液晶」とはもともと物質の一状態で、液体と固体の間に存在する中間的な状態を指す言葉です。ディスプレイに使われる物質は棒状の分子で、屈折率・誘電率などの物理的性質が分子の向きによって変わる性質を有したまま液体のかたちを取れる物質が使われます。
以下に代表的なTN型(ねじれネマティック)液晶の表示原理を示します。配向膜(一定方向に微細な溝がある板)に液晶を接触させると、その溝に沿って液晶の分子が並びます。この配向膜を2枚、90度回して向かい合わせにすれば、液晶分子は間で90度ねじれた形をとります。光は分子の並ぶ隙間を通るようになっており、光も90度ねじれて通っていくことになります。また、配向膜に鉛直の電圧をかけると、分子の向きは電圧に沿って配向膜に突き立つように並び、配向膜の溝を分子が占有しないので、光は直進することになります。直進した場合の光の向きに対応する偏光フィルターを置けば、電圧がかかった時だけ光を通すディスプレイができることになります。「ゲーム&ウォッチ」(SHARP社)などに使われた表示方式です。
リアプロジェクションテレビとは?
リアプロジェクションテレビは、第三の液晶テレビとも言われ、背面投射式テレビという別名もあります。
原理はテレビ内の映像投影機から映像を出し、テレビの背面で反射させると、スクリーンに画像が映し出されるというものです。1990年代前半に薄型テレビ・ブラウン管テレビの大型化技術が発達するまで、大画面テレビの市場を支えた技術です。奥行きがブラウン管テレビなどよりも深く、場所を取るなどの理由で、日本の一般家庭にはあまり普及しませんでした。かつてはソニーの「BRAVIA」、エプソンダイレクトの「LIVINGSTATION」などが発売されていましたが、日本では2008年に一般家庭市場から撤退、業務用製品やフロントプロジェクターの開発に専念しています。
かつては投影機がブラウン管テレビのものと同じ装置だったため、大画面になると画像が粗くなり、画面が暗くなるなどの欠点がありました。しかし高画質のフルハイビジョン映像を映せる小型液晶が投影機に使えるようになると、液晶やプラズマの各テレビと変わらないほどに画質が改善していったのです。また、マイクロディスプレイ(1280×720ピクセル以上の解像度を持つ1インチ未満の超小型ディスプレイのこと。DLPなどがこれにあたる)が普及し薄型化も達成。北米では液晶・プラズマ両テレビを上回るシェアを持つに至っています。
DVDプレーヤーとは?
DVDプレーヤーは、DVDの再生専用機を指す言葉です。記録型DVDに動画などを記録できる装置は「DVDレコーダー」として分類されています。
DVDには記録のできるもの(DVD−R・RW・RAMなど)と再生専用のものがあり、市販の映画などのDVDが後者にあたります。「-R」は追記型とも呼ばれ、書き込んだ情報を消すことができず、最も安価なディスクで、様々な機器で再生できます。
データの再生の仕組みは「R」と「RW・RAM」で異なっています。
「R」は記録時に強いレーザーを照射しディスク表面にピット(光を反射しない突起)を生じさせ、再生時にはピットによるレーザー反射の強弱で信号を読み取るようになっています。ディスク表面に直接突起をつけるため、記録情報を消すことができないという訳です。
一方「RW・RAM」は記録時にレーザーを照射するところまでは同じですが、ディスク表面に貼られた記録膜という部分の質が「アモルファス質⇔結晶質」の間で変化します。再生時にも、レーザーを当てるのはRと一緒ですが、読み取るのはそれぞれの反射率の変化という違いがあります。
DVDそのものにも「録画用」と「PCデータ用」があり、前者のほとんどは「CPRM対応」製品です。CPRM(Content Protection for Recordable Media)はコピー制御方式の一種で、「その映像を録画した媒体から、別の媒体への焼き増しが出来ないように出される制御方式」です。コピーワンスという名称があります。デジタル放送にはこのCPRMに則った制御信号が含まれているため、録画するために「CPRM対応」のディスクが必要となります。
BD(ブルーレイディスク)プレーヤー
BDプレーヤーは、BD(ブルーレイディスク)およびDVD-Videoを再生する装置を指す言葉です。
DVDと同じくBDプレーヤーは再生専用機を指し、記録型BDに動画などを記録できる装置は「BDレコーダー」という名前で呼ばれます。2008年までは、競合規格としてHD DVDプレーヤーが発売されていました。
BDの売りは、その容量の大きさ。簡単に言うと記録の密度を増やしたディスクです。筆でしか書けなかった所がシャープペンシルで書けるようになったようなものです。ディスクにおいてこういったことを左右するのが、レーザー波長です。これまでのDVDなどでのレーザー波長は650nmでしたが、青紫色(ブルーレイの名前の由来です)の波長405nmと短波長なレーザーを使用できるようになりました。これで、書き込み時に割かれるスペース(ビームスポット)の微小化に成功し、より多くの情報を書き込めるようになりました。
また、情報の書き込みは基本的に同心円状の向きで行われますが、この巻き数(トラックピッチ)の増大にも、光照射面積の低減(5分の1)で応えています。木の年輪からバウムクーヘンの密度になったようなものです。これらを技術に応用したのがBDというわけです。
再生対象にはBD(ブルーレイディスク)の再生専用ビデオ規格(BDMV)という製品もあります
まとめ
映像投影技術はリアプロジェクションテレビからBDに至るまで、それぞれの歩みを続けてきました。
光の波長の変化でDVDからBDに進化したように、各技術の進歩はまだまだ続きそうです。